
羅針盤の佐々木(@sasakifumito)です。
2014年の創業以来ガイドに関わってきた身として、「通訳ガイド」「ローカルガイド」とガイドに最近注目が集まってきているのは嬉しいかぎりです。
本提言は、
など、複数の立場でガイドに関わっているものとしてのポジショントークという面もあります。
一方、自分自身、深く多様にガイドと関わってきたことに加え、ガイドだけではなくビジネス関連でも人材育成に関わったものとして、現実的で、かつ、有意義な提言だという自負もあります。
ガイド育成事業、地域通訳案内士制度の検討等携わられている方は是非ご覧いただき、ご意見いただけると嬉しいです。
地域におけるガイド育成の課題は、地域によって様々です。
そもそも募集の段階に課題があるのか、研修内容なのか、出口の設計なのか、多くの場合はその組み合わせであるようにも思います。
具体的にそれぞれに対してどんな打ち手があるのか、については、また別途寄稿できればと思っておりますが、特に大きな問題としては、「活躍の場所がない」ということです。
ここを解消できないと、いくらガイド研修をやっても、その先に繋がらず、受講者も「で、どうすればいいんでしたっけ・・・?」となってしまいますし、研修自体が目的化してしまいます。
そこを見せられないと、「ガイドやってみませんか?」という声かけも魅力が増さずに、ガイド募集にも繋がりません。
ガイド育成を手掛ける上で、まず意識するべきは、出口(活躍の場)をどう創るか、です。
「活躍の場をどう創るか」の打ち手も複数ありますが、その一つに関連してくる2024年3月に発出された道路運送法の許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについてご紹介します。

出典:国土交通省HP https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001322024.pdf
この③で「ツアーやガイドに付随して運送が可能であること」が明記されました。これまで、平成29年の通達により、ガイド業において、ガイド代しかもらっていなくても、「運転しながらのガイドはガイド代に運転代も含まれている」とみなされ、有償旅客に該当するため、運転しながらのガイドは認められてきませんでした。
それが、今回の改正に伴い、一定の要件を満たせば、運転しながらガイドしても良い、となりました。
通訳案内士等による観光ガイド事業との一体運送
・国・地方公共団体及び公益社団法人日本観光振興協会並びに公的機関が認定・付与する資格を有する観光ガイドが、ガイドのために人を運送する場合で、
運送に特定した反対給付がない場合は、許可又は登録は不要である。
・ただし、観光ガイドと称していても、提供されるサービスの実態が、当該地域に関する専門的な知識や高度な語学力等に基づくガイドの提供ではなく、単に目的地への運送のみである場合には、許可又は登録を要する。
一定の要件とは下記の4つです。
とても大きな通達ではあったのですが、全国的に見てこの通達が活かされている事例は個別ではきくもののあまり拡がりを見せていません。
「勿体ない!」と思うのですが、運用に落ちていないというのが現状です。
特に、資格の部分と専門知識に関するところに関して、解釈が明確ではありません。
北海道運輸局は添付のような資料を公表し、資格の有無は問わない、というスタンスでしたが、他の運輸局に聞くと違う回答が返ってくるという状況です。

出典:「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて」北海道運輸局自動車交通部令和6年11月28日
(※今日現在、上記資料が公開されていたURLがNOT FOUNDになっており、非掲載になった背景は未確認です。)
国土交通省に「公的機関」の定義を尋ねたところ当初「一般社団法人が認定した資格でも問題ない」とメールで回答いただいたものの、これまた運輸局に聞くと、そういう認識ではない、と回答がある状況。
要件のうち特に「③公的資格」に関して、国交省・運輸局で解釈が定まらない状況が続いています。これでは、リスクがあって個人や企業が運用に落とせません。
「一般社団法人でよい」と国交省からの回答を受け、一般社団法人を立ち上げたものの、やはり、いつ運用が変わるかわからない状況では、正式に打ち出しづらい状況です。
(認めてもらったので自分たちで社団を作りましたが、社団を認めたらある意味無法地帯になりかねないという状況も理解できるので、一旦検討を続けている段階です。)
「運転しながらガイドできるようになること」(以下、ドライバーガイドと呼びます。)は、ガイドにとっても地域にとっても物凄い大きな可能性です。
ガイドとしても活動の幅が広がりますし、移動もできると提供できる価値が格段に増します。収入増の確率が格段とあがります。
地域としても、これまでなかなかゲストが訪れることの難しかった場所にも足を運んでもらえるようになります。
このガイドラインの活用に向けては、曖昧になっているところを明確にしてもらえるのが一番ではあります。
ただ、この1年半、色々動いてみて、時間がかかりそうだな、というのが正直なところです。
そうした中で、ガイドラインを活かす上では、正攻法で行くのが現状一番最短距離だと考えています。
「国・地方公共団体及び公益社団法人日本観光振興協会並びに公的機関が認定・付与する資格」とある中で、日本観光振興協会は現状ガイドの認定制度を持っていません。
国で言えば、全国通訳案内士なのですが、これは実に合格率が低く、試験問題を変えたほうが良い等の意見が団体より出ていますが、こちらも活用しづらい状況です。
そうした中で、各自治体で認定制度を立ち上げるのも一つですが、ゼロから作るとなると検討のハードルもあるかと思います。
そこで一番活用を期待できるのが地域通訳案内士です。
これは、国の法律で定められた制度ですし、既に全国42地域で運営されていることもあるので、新規で別の地域での導入のハードルも低いのではと感じています。
(地域通訳案内士の育成等に関する基本的な指針も公開されています)
出典:観光庁HP https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001894271.pdf
これを活用すれば、ドライバーガイドの活躍の場を広げることができるわけです。
地域通訳案内士は上述の通り42地域で導入されています。
ただ、よく見ていただければわかるように、全ての地域で安定的に運営されているものではありません。
こうした制度は始めることより、続けることの方が難しく、予算の確保の観点等から、中断してしまっているケースも耳にします。
昨年は、制度を辞めようか検討しているという相談もいただきましたが、全力で続けたほうが良いという話をさせていただきました。
その背景は、道路運送法のガイドラインを活用し、ドライバーガイドをすすめるベースになるからです。
別の地域では、既に育成したガイドの活動率が低いから、という理由で再開できていないという話も聞きました。
この地域通訳案内士制度、活用されている地域の方がまだ限定的かもしれません。
それは、まだゲストがそこまで多く来ていないという外的要因によるものもありますし、制度設計自体が研修が目的となり、活躍環境までを設計できていないというカリキュラム・制度に課題があるケースも多く見受けられます。
既に地域通訳案内士制度を導入している地域も、改めて地域の現状・課題と目指す先に向けてどう活用していくのかを再検討することで可能性は拡がると思いますし、まだ導入していない地域も是非これを機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
大分地域を絞った形で運用をされているエリアもありますが、運転を見据えた資格とするのであれば、近隣と連携し広域連携で設計するのもとても面白い取組になると感じています。
仕事がないから、担い手がいない。
担い手が少ないと、サービスを安定的に提供できない。
長らくそうした環境が続いてきましたが、ドライバーガイドは、稼げるハードルが下がり、かつ、地域誘客に有効な手段です。
安心・安全も担保しながら、どう活用していくか。(「安心・安全」これ大事!)
成功事例を創ることができれば、全国的にも注目度をあげられる取り組みであるとも感じています。
興味あるけど、手の付け所が分からないという方がいらっしゃいましたら、伴走させていただきますので、お気軽にご連絡ください。